ケルの新しい取り組み<熱課題への取り組み>

このページはケルの新しい取り組みを紹介する特設サイトです。
 
ケル株式会社はコネクタ、ハーネス、ラックを主力製品としたメーカーです。 当社が新プロジェクトとして力を注ぐ取り組みをシリーズとしてご紹介いたします。
 
1.熱課題への取り組み:ヒートパイプと水冷方式冷却
(1)<ヒートパイプ>冷却の必要性と製品縮小化
2.変換への取り組み:変換アダプタと変換ハーネス
3.防水への取り組み:防水ケース
4.ノイズへの取り組み:EMCキャビネット
   

新しい取り組みを紹介するにあたり、開発技術者の想いからお話しさせていただきます。

開発技術者 K氏


開発者の想い
私は、コネクタ専門メーカーのケル株式会社に入社以来、コネクタから派生したラック製品の技術者として従事してきました。ラック製品は、多くの設備機器関連にご採用をいただいている機器製品となります。
 
<当社製品の主な採用市場>

医療市場

電力機器市場

鉄道市場

半導体製造設備市場

  

ラック製品のほとんどがフルオーダーであり、仕様も多岐に渡ります。お客様にヒアリングすることで、ご要求にあわせた製品を生み出してきました。
 

当社のラック製品群



 
その中にはラック製品以外の課題をお聞かせいただくこともあります。そのような場面に遭遇するうちに、特に要望の多い課題について取り組む必要性を感じ始めました。
 
「お客様のご要求、課題に真摯に応えたい」。その情熱を社内に訴えたところ、部門を超えて賛同してくれる仲間が集まり、ついに会社としてのプロジェクトになりました。
   


シリーズ1:熱課題への取り組み
お客様からいただく課題の一つに「熱対策」があげられます。ラック製品においてもこの課題は存在しており、機能・構造を駆使しながら解決した経験が様々な熱課題に対しても貢献できるのではと考えました。
   
高速通信技術の発展により光デバイスなどの発熱量は増大する一方で製品小型化のため冷却スペースは、縮小化の傾向にあります。 冷却においては、ヒートシンク・ファン等の組み合わせが一般的ですが、スペースの制限から実現できないケースがあります。
 
 
「障害物によりファンの風が行き届かない」
「実装密度が高く冷却装置を配置できない」
「そもそも発熱量が大きくファン、ヒートシンクでは排熱しきれない」
このような課題はヒートパイプで解決できるケースがあると考えます。
 
ヒートパイプの仕組み(熱輸送)
ヒートパイプは、金属パイプ内の作動液が蒸発と凝縮を繰り返し動作します。そのため、電源を必要とせず、熱輸送する事が可能です。
ヒートパイプの熱伝導率は、銅、セラミック、アルミニウムなど熱伝導に優れた物質の25倍~50倍で、高熱伝導物質である、グラファイトと比較しても5倍~10倍の実力を持つ部品です。
   
一方、導入については容易ではありません。 なぜなら、ヒートパイプ導入には、構造設計と熱設計(効果確認)が必要となり、さらに目標温度実現にはそのプロセスを繰り返し行う場合があるからです。それは費用的にも工数的にも、大きな負担になります。当社では多彩な設計により培われた構造設計力と、熱対策部品を扱う中で得た熱流体解析(シミュレーション)のノウハウによって、導入支援することが可能です。
 

熱流体解析(シミュレーション)

ヒートパイプ効果確認

 

熱流体解析(シミュレーション)

ラック筐体内効果確認


当社はヒートパイプがどのような動作をもたらすのか、数値化し見ていただけるデモ機の製作を行いました。発熱体の発熱量をパラメータとして「ファンの風量と発熱体温度の動き」、ヒートパイプの課題の一つである「トップヒート時の熱輸送力低下」もご確認いただけます。
またお客様の用途に合わせてシミュレーションすることも可能です。
 

動作の数値化を行うヒートパイプデモ機

これまで冷却・放熱への取り組みでヒートパイプやヒートシンクなど、様々な部品を使用した設計や製造をしてまいりましたが、空冷だけでは解決が難しい事案もありました。

そこで、さらなる熱対策ソリューション・水冷方式への取り組みを進めました。 一般的に水冷方式は、液体を使う為、冷却性が高く、更に受放熱場所を自由に設定できる等のメリットがあります。一方で液体を循環させるためのポンプ、循環液冷却用のラジエータ、配管、止水バルブやエアチャンバーなど、水冷特有の部品が必要であることから、導入が容易でないというデメリットも存在します。 また、選定した部品で所望の排熱効果が得られるのか効果が不透明であるということも導入のハードルを上げる要因となっているようです。
 

 
当社は設計段階の熱流体解析を繰り返し行うことで得たノウハウを活かして以下3点のシミュレーションが可能です。

①熱源の低温化(熱を受け取った水冷ブロックの解析)

②流速確保(配管、バルブ、ラジエータによる圧力損失の解析)

③循環液の温度解析(熱を奪って高温となった液体がラジエータを通過した後の解析)

  

今後は、空冷方式、水冷方式単体ではなく必要に応じて既存の熱対策部品を組み合わせ、排熱性能に優れた「熱対策ソリューション」をご提供したいと考えております。

 

熱流体解析(シミュレーション)

水冷方式冷却



熱の課題をぜひお聞かせください
今回、紹介させていただいものは、当社取り組みの一例です。 当社はお客様のご要望に沿う製品を開発することで、製品価値を見出してきました。 今回の新プロジェクト「熱課題への取り組み」を通して、共に熱の冷却・放熱の課題に向きあえる機会をいただきたいと思っております。皆様の課題をぜひお聞かせください。
 
最後までお読みいただきありがとうございます。 もしこの記事をきっかけに「ケルに依頼すれば解決できるのでは?」、ということがありましたら、以下お問い合わせフォームよりご連絡ください。